2011年5月30日月曜日

いまこそ「サービス」で国を立てよ|この一年の注目記事|新しい日本を創る提言誌 Voice+ ボイスプラス

いまこそ「サービス」で国を立てよ|この一年の注目記事|新しい日本を創る提言誌 Voice+ ボイスプラス

サービス業で国を立てる日本へ、というときに、「日本はモノづくりの国」という意識をもっている人は少なからず反発を覚えるだろう。この国にとって製造業が死活的に重要な産業であることを、私も否定はしない。しかしそもそも製造業とサービス業を分けて考えること自体、私にいわせれば捨てるべき過去の発想なのだ。

 つまりITの進展によって、製造業とサービス業という区分け自身が無意味化しているのである。たとえば、映画から金融までを手がける現在のソニーは、はたして「製造業」と呼べるのだろうか。いまや家電ですら、その付加価値を決定するのは製品のみならず、そこに付随するサービスである。人びとがアップルの製品を魅力的に感じるのも、そこにiTunesなど魅力的なサービスが付随しているからだ。

 自動車にしても、4月にトヨタ自動車とマイクロソフトがスマートグリッド構想における提携を発表したように、プラグインハイブリッド車の普及を見据え、これまでの製造業の枠内から抜け出すような動きが起こっている。むしろサービスを付加した差別化を進めることこそ、日本の製造業を強化するための道なのだ。

 逆に「日本はモノづくりの国」といって既存の製造業の枠内に閉じこもっているだけでは、その企業は確実に競争力を失っていく。日本メーカーは大同団結して「オールジャパン」で海外との競争に挑むべきという声もあるが、世界的なレベルで合従連衡が起こるいま、国内だけで物事を考えてもあまり意味がない。

 そもそも「いいものを安く」だけではいずれ、新興企業にその地位を取って代わられる。先進国は付加価値の大きいビジネスをメインに据えるべきで、私はそれを「モノづくりから仕掛けづくりへ」と呼んでいるが、日本もそうした方向にシフトしなければならない。わが国は紛れもない、先進国なのだから。